野田弘志-真理のリアリズム|2022年4月27日(水)〜2022年6月19日(日)|山口県立美術館

画像:野田弘志近影

見える世界を見つめ尽くし、描き尽くす-野田弘志『リアリズム絵画入門』芸術新聞社

野田弘志(1936-)

1936年、韓国全羅南道生まれ(本籍地は広島)。1957年に東京藝術大学に入学、小磯良平教室に学びました。在学中に出品した第36回展白日会展(1960年)では、初出品にして初入選を果たし、白日賞を受賞しています。卒業後はイラストレーターとして広告会社に就職し、自身で会社を立ち上げるなど、多忙な日々を送りました。しかし絵画制作への想いの高まりと、大病を患ったことも一つのきっかけとなって、制作に専念するようになったのです。
野田が学生時代を過ごし、画業一本に専念するようになった1960~1970年代、日本ではもっぱら抽象絵画がもてはやされ、写実という表現技法はもはや古いとする見解が圧倒的に優位を占めていました。野田自身、学生時代には海外から押し寄せる新しいスタイルの波の中で、「シグナル・アート」と揶揄されるほど短期間で作風が変わっていた時期もあります。しかし制作に専念することを決意し画壇デビューを果たしてからは、テーマやモチーフに変化はありながらも、一貫して写実によって「存在」とは何かを追求する姿勢を貫き続け、今では日本における現代リアリズム絵画の第一人者ともいうべき地位を確立するに至ったのです。現在も、北海道のアトリエで、様々な次回作の構想を練りながら精力的に制作に没頭する日々を送り、あくなきリアリズムへの道を歩み続けています。

画像:制作中の様子 画像:制作中の様子