創建1250年記念「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」|2017年10月20日(金)〜12月10日(日)|山口県立美術館

山口県立美術館

展示案内

第1章

西大寺の創建

西大寺は天平神護元年(765)に建立された官大寺で「南都七大寺」の一つに数えられた由緒ある寺院です。創建したのは聖武天皇の娘、称徳天皇。前年に起きた「恵美押勝の乱」(藤原仲麻呂の反乱)の鎮定を祈願して、その創建を発願しました。父帝が建立した東大寺と対になるように、平城宮の西側に建てられた西大寺は、創建当時、百十を超える諸堂が建ち並ぶ、壮麗な大伽藍を誇っていました。第1章では、奈良時代の仏教美術や経典、瓦などの出土資料を通して、創建から平安時代にかけての西大寺の歴史と繁栄を紹介します。

風天像

国宝「十二天像」のうち「風天像」 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:森村欣司

塔本四仏坐像(阿閦如来)

重要文化財 塔本四仏坐像(阿閦如来) 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:森村欣司

第2章

叡尊をめぐる信仰の美術

都が平安京に移ると奈良の社寺は苦難の時代を迎えます。特に、創建直後に庇護者を失った西大寺の状況は深刻でした。しかし、鎌倉時代に中興の祖、叡尊(えいそん)(1201~90)が登場します。「興法利生(こうぼうりしょう)」(仏教を盛んにし、人民を救済すること)の理念を掲げ、戒律を復興した叡尊は、釈迦本来の仏教に立ち返り、釈迦信仰を核とする独自の宗教活動・慈善事業を展開していきました。密教に律宗の教えを組み合わせた「密・律兼修の道場」として、西大寺は再興を果たすのです。第2章では、昨年新たに国宝に指定された叡尊の肖像彫刻や、本尊「釈迦如来立像」をはじめとする西大寺の名宝を通して、叡尊にまつわる信仰と美術を紹介します。

興正菩薩坐像

国宝 興正菩薩坐像 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:森村欣司

愛染明王坐像

重要文化財 愛染明王坐像 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:森村欣司
[展示期間 11月21日~12月10日]

釈迦如来立像

重要文化財 釈迦如来立像 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:森村欣司

文殊菩薩坐像
重要文化財 文殊菩薩坐像 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:森村欣司

金銅透彫舎利容器
国宝 金銅透彫舎利容器 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:佐々木香輔

第3章

真言律宗の発展と一門の名宝

叡尊の教えは弟子たちによって、全国各地に広がっていきました。畿内では元興寺、般若寺など多くの寺院が復興し、東国では、忍性が鎌倉を拠点として社会福祉事業に尽力します。また西国では蒙古襲来が、九州へ教線を広げる大きな転機となりました。さらに、奈良時代に建立された全国各地の国分寺も、西大寺律僧によって再興されていくのです。第3章では、山口を含めた西大寺と縁の深い中国・九州地方の寺院の名品を中心に、真言律宗の地域的な広がりを紹介します。

釈迦如来坐像

重要文化財 釈迦如来坐像 佐賀・東妙寺

十二天曼荼羅図

重要文化財 十二天曼荼羅図 山口・長門国分寺

文殊菩薩騎獅像

重要文化財 文殊菩薩騎獅像 奈良・般若寺
画像提供:奈良国立博物館 撮影:佐々木香輔
[展示期間 11月21日~12月10日]