京都

  • 俵屋宗達
  • 尾形光琳
  • 狩野山雪
  • 伊藤若冲
  • 円山応挙
  • 長澤蘆雪
  • 曾我蕭白
  • 池 大雅
  • 与謝蕪村
  • 祇園井特
  • 狩野永岳

曾我蕭白

豪快!大胆不敵な墨技

鋭い爪を岩に立て、振り向きざまに吠(ほ)える獅子。寺院の守護神・仁王像の口を大きく開いた阿形(あぎょう)に見立て描かれている。荒れ狂うような豪壮な筆さばきは、水墨の特質を把握し、自在に操ることができた蕭白ならではのもの。右幅、口を強く結んだ吽形(うんぎょう)の獅子もお見逃しなく。

画像:唐獅子図
重要文化財 「唐獅子図」左幅 三重・朝田寺 [展示期間:7月7日〜7月26日]

与謝蕪村・円山応挙

応挙 蕪村、両巨匠の合作

手ぬぐいを被った猫と、着物姿の杓子(しゃくし)[しゃもじ]が踊っている。猫は円山応挙、杓子は与謝蕪村の作で、酒宴に同席の折、戯れに描いたものか。「爺も婆も猫も杓子も踊りかな」と句が添えられ、笑いを誘う。絵の周囲の表装に描かれた、可憐なススキと青い小花にも注目したい。

画像:ちいもはゝも」画賛図
《「ちいもはゝも」画賛図》 広島・海の見える杜美術館
[展示期間:8月4日〜8月30日]

伊藤若冲

色彩の魔術師・伊藤若冲

長さが10メートルを超す絹地に、野菜や果物、両生類や虫が生き生きと描かれている。注目すべきは濃淡の変化に富む、みずみずしい色彩。なかには、絵の具の種類が解明できない色も含まれているという。着色画と水墨画、双方を極めた若冲の集大成というべき名品。

画像:菜蟲譜
重要文化財 《菜蟲譜》(部分) 栃木・佐野市立吉澤記念美術館 [展示期間:7月7日〜8月30日] ※7月7日〜8月2日は前半、8月4日〜8月30日は後半部分を展示します。

大坂

  • 中村芳中
  • 耳鳥斎
  • 林 苑
  • 墨江武禅

中村芳中

“ゆるカワ”琳派の異才

一見すると、おにぎりのようだが、実は宮中に出仕する公卿(くぎょう)が座った後ろ姿。芳中は、尾形光琳の図様を、さらに丸みのある造形に仕上げた。琳派特有の“にじみ”を多用するのも特徴で、黒い衣と紅葉には金色、楓の幹の苔には緑色を効果的にあしらっている。

画像:公卿観楓図
《公卿観楓図》 個人蔵 [展示期間:7月7日〜8月2日]

耳鳥斎

ユーモアセンスが光る地獄

さまざまな職業、嗜好の人々が、地獄に落ちたらこうなると予告するように、大坂画壇の異才、耳鳥斎が笑いとユーモアたっぷりに描いた戯画巻。本図「歌舞伎役者の地獄」では、役者が“大根”とともに釜茹でされている。

画像:別世界巻
《別世界巻》(部分) 大阪・関西大学図書館 [展示期間:7月7日〜8月16日]
※7月7日〜7月26日は前半、7月28日〜8月16日は後半部分を展示します。

江戸

  • 葛飾北斎
  • 加藤信清
  • 谷 文晁
  • 鈴木其一
  • 狩野(逸見)一信
  • 歌川国芳

歌川国芳

浮世絵師・国芳、異彩の水墨画

岩陰からぬっと顔を出し、池の水を勢いよく呑み乾(ほ)そうとする大蛇。吸い上げられて盛り上がる水面、暗く不気味な霊気がただよう空間は、異世界そのもの。武者絵や美人画、戯画で人気を博した国芳の作例のなかでも、冒険的な異色の作品。

画像:水を呑む大蛇
《水を呑む大蛇》 個人蔵 [展示期間:7月7日〜8月2日]

葛飾北斎

北斎、渾身の大作!空海VS病魔

疫病が流行した平安時代、病は鬼が引き起こすものと考えられていた。弘法大師・空海が疫病を鎮めた伝説を、北斎は、大画面を突き破らんばかりの鬼の威容と、一心不乱に鬼の退散を祈る空海の勇姿によって、圧倒的な迫力を持つ作品に結実させた。

画像:弘法大師修法図
《弘法大師修法図》 東京・西新井大師總持寺 [展示期間:7月7日〜8月2日]

諸国

  • 松前 - 蠣崎波響
  • 仙台 - 菅井梅関
  • 水戸 - 林 十江
  • 古河 - 河鍋暁斎
  • 飯田 - 佐竹蓬平
  • 小布施 - 髙井鴻山
  • 駿河 - 白 隠
  • 尾張 - 田中訥言
  • 福井 - 岩佐又兵衛
  • 岡山 - 浦上玉堂
  • 高知 - 絵 金
  • 福岡 - 仙 厓
  • 鳥取・長崎 - 片山楊谷
  • 山口 - 神田等謙

蠣崎波響

稀代の逸品、アイヌ首長の肖像

寛政元年(1789)、蝦夷地のクナシリ・メナシ地方で、和人の圧政に対してアイヌが決起。松前藩が鎮圧した際、藩に協力したアイヌ首長12人の肖像を、蠣崎波響が描いた。陰影法を用いて写実的に表された本図は、民族資料としても価値が高い。

画像:御味方蝦夷之図
《御味方蝦夷之図 イコトイ》(部分) 北海道・函館市中央図書館
[展示期間:8月4日〜8月30日]

髙井鴻山

奇天烈な妖怪たち

葛飾北斎を小布施(長野県)に招き、その門人となった豪商・髙井鴻山。気品ある花鳥画を得意とした鴻山だが、晩年に妖怪画を描き始めた。独自の発想により生み出された妖怪の姿は、奇妙であるが愛嬌もあわせ持つ。

画像:妖怪図
《妖怪図》 個人蔵 [展示期間:7月7日〜7月26日]

絵金

鮮烈な色彩と臨場感あふれる芝居絵

夫と歌方姫の仲を誤解し、嫉妬に狂う女・累(かさね)が、髪を逆立て姫の袖に喰らいつく衝撃の場面。鮮烈な色彩、力強い筆勢と構成力が見事な絵金の芝居絵屏風は、高知の絵金祭で今も商家の軒先に飾られる。手に汗握る場面展開は、見る者の目を釘付けにする。

画像:伊達競阿国戯場
《伊達競阿国戯場 累》 高知・香南市赤岡町本町二区 [展示期間:7月7日〜8月2日]

仙厓

仙厓さんが放つ、ヘタウマ?禅画

今も博多で愛される仙厓和尚。そのユーモアあふれる禅画は、見る者の心を和ませる。中国唐時代に奇行で知られた禅僧・豊干(ぶかん)と、虎の親子の珍妙な面持ちは必見。うるおいに満ちた墨色と軽やかな筆のタッチも絶妙。

画像:寒山拾得・豊干禅師図屛風
《寒山拾得・豊干禅師図屛風》左隻 福岡・幻住庵 [展示期間:7月7日〜8月2日]