唐絵(からえ)の系譜 将軍家の襖絵/雪舟と狩野派

開催概要

室町時代(1336-1573)、武家の間では、南宋・元時代(1127-1368)の「唐絵(からえ)」が愛好され、足利将軍家をはじめとする有力武家たちによって熱心に収集されました。「唐絵」とは、もともとは中国から伝来した絵画のこと。日本の画家たちは「唐絵」を手本として、自ら「和製の唐絵」を制作するようになります。
14〜15世紀の京都の将軍邸は、将軍家に仕える御用絵師が「唐絵」にならって描いた山水図や花鳥図によって飾られていました。それは、山口を拠点に、周防・長門・筑前・豊前を治めた有力な守護大名、大内氏の館でも同様だったと考えられます。将軍家の御用絵師、天章周文(てんしょうしゅうぶん、生没年不詳)の弟子であった雪舟等楊(1420-1502/06?)は、15世紀半ばに京都から山口に移り、中国・明での2年におよぶ旅を経て帰国したのちに、大内館の襖絵を描いたのではないかとも考えられています。
このように、「唐絵」を尊重して絵画制作の規範とする美術文化は、その後、足利将軍家から徳川将軍家へと継承され、武家文化の大きな柱の一つであり続けました。
本展覧会は、周文から雪舟へ、さらに狩野探幽(かのうたんゆう、1602-74)をはじめとする江戸狩野派へと継承される、御用絵師=唐絵画家の系譜を、第1部〈将軍家の襖絵〉、第2部〈雪舟と狩野派〉という2つの展示によって辿ります。

画像:重要文化財 天章周文[伝]
  • 重要文化財 天章周文[伝]
  • 《四季山水図屏風(左隻)》(部分)
  • 15世紀 室町時代 ウッドワン美術館

唐絵の系譜 第一部 将軍家の襖絵

屏風でよみがえる室町文化の粋

室町時代(1336-1573)は、能や狂言・茶の湯・生け花など、今も息づく文化芸能の多くを生んだ、日本文化の原点ともいうべき時代です。京都の室町幕府、足利将軍邸は室町文化を育んだ中心であり、なかでも人々が集まって能・狂言を鑑賞し、連歌会や茶会を催した「会所(かいしょ)」と呼ばれる建物は、特に重要視される象徴的な空間でした。この会所の襖は、将軍家の御用絵師をはじめとする、当代を代表する画家の絵によって飾られていたのです。
残念ながらこれらの襖絵はすべて失われ、今では目にすることができません。しかし残された文献から、どのような画題の絵が描かれていたかを知ることができます。第1部〈将軍家の襖絵〉では、主要な画題を選び、襖絵と画面の大きさが近い屏風絵を用いることによって、〈将軍家の襖絵〉の世界をよみがえらせます。

画像:国宝 雪舟等楊
  • 国宝 雪舟等楊
  • 《四季山水図巻(山水長巻)》(部分)
  • 1486年 室町時代 毛利博物館

唐絵の系譜 第二部 雪舟と狩野派

国宝・山水長巻と幻の雪舟筆山水図巻

第1部〈将軍家の襖絵〉で紹介した「唐絵」を尊重して絵画制作の規範とする美術文化は、その後、足利将軍家から徳川将軍家へと受け継がれていきます。つまり、足利将軍家に仕えた周文をはじめとする画家たち、また大内家の御用をつとめた雪舟に連なる「御用絵師=唐絵画家」の系譜は、江戸時代になると、徳川将軍家の御用絵師、狩野探幽(かのうたんゆう)へと継承されました。探幽は、とりわけ雪舟の絵を高く評価し、熱心に学習することで、江戸狩野派の新たな画風を創り上げることに成功しています。
第2部〈雪舟と狩野派〉では、国宝「四季山水図(山水長巻)」(毛利博物館)に代表される雪舟の名品と、探幽をはじめとする狩野派の作品とを、あわせて紹介します。雪舟と狩野派がそれぞれ描いた同画題の作品を比較してご覧いただくことで、狩野派が雪舟という存在をどのように捉えていたのか、そして雪舟が近世絵画史に与えた影響について改めて考えます。

関連イベント

入門講座「周文・雪舟・探幽 唐絵の系譜」

講師
荏開津通彦(山口県立美術館学芸員)
日時
10月2日(日) 14:00〜15:00
会場
山口県立美術館講座室
  • 要事前申込・聴講無料(先着40名)

申込方法

①参加希望者全員の氏名 ②年齢 ③住所 ④電話番号を明記の上、
美術館ホームページ(https://www.yma-web.jp)の申込フォーム、往復ハガキ、またはFAXで、
開催日の10日前までにお申し込みください。折り返し、当館よりご連絡いたします。

ギャラリーツアー

〈担当学芸員による作品解説〉

日時
9月18日(日)・10月2日(日) 11:00〜11:40
  • 聴講無料

唐絵(からえ)の系譜 将軍家の襖絵/雪舟と狩野派

2022年9月16日(金)~10月16日(日) 山口県立美術館

開館時間
9:00~17:00(入場は16:00まで)
休館日
9月26日(月)※10月3日(ファースト・マンデー)は開館
観覧料
  • 一般 1,600(1,400)円
  • シニア・学生 1,400(1,200)円
  • 18歳以下無料
主催
  • 山口県立美術館
  • 防府市
  • 山口市
  • 読売新聞社
  • KRY山口放送
企画協力:将軍家の襖絵
根津美術館
特別協力:雪舟と狩野派
公益財団法人毛利報公会 毛利博物館
特別協賛
山口銀行

ご来館される皆さまへ

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、今後の状況によっては混雑時の入場制限や、開館・閉館時間の変更、および臨時休館等の対応を取らせていただく可能性がございます。最新の情報は当館ウェブサイトにてご案内いたしますので、必ず事前にご確認の上、ご来場いただきますようお願い申し上げます。

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